皆さま、こんにちは。コートニー・レーガンです。新聞やニュースをご覧になっている方、あるいは投資に関わっている方であれば、いま「プライベート・クレジット」を巡る報道に関心を持たれているのではないでしょうか。私自身も気になる点が多くあります。最適な専門家であるブラックストーンのクレジット&インシュランス部門でグローバルCIO(最高投資責任者)を務める、マイケル・ザワツキーにそれらの疑問に答えてもらいましょう。早速ですが、プライベート・クレジットには、「レバレッジ」や「流動性」、「デフォルト」、さらには借り手の信用力そのものなど、世界金融危機を彷彿とさせる言葉も少なくありません。足元の状況は、2007年から2009年当時と比較して、共通点と相違点はどこにあるのでしょう。
私は、その比較自体が、完全に的外れだと考えています。世界金融危機の背景には、融資側における過剰なレバレッジや、融資先のリスクの拡大、そして資産と負債のミスマッチが存在していました。資産と負債のミスマッチとは、銀行が、すぐに引き出せる預金等の短期資金を原資に、長期の融資を行っていたことです。また、サブプライム住宅ローンでは、担保資産価値の9割以上が借入で賄われていました。一方、足元の直接融資においては、融資先の借入比率は資産価値の約4割にとどまっています。さらに、当時ブローカー・ディーラー(投資銀行など)は25倍から40倍ものレバレッジをかけていたのに対し、直接融資を行うファンドはレバレッジを1倍未満に抑えています。これら3つの観点を踏まえても、足元のリスク水準は、過去の金融危機とは大きく異なります。
確かに、納得できる部分はありますし、数字の裏付けもありますね。ただ、「透明性」への懸念は依然として残ります。プライベート・クレジットは、上場のクレジット市場と比較して透明性に欠け、閉鎖的だという批判については、どう考えますか。
その懸念があることは理解しています。確かにプライベート・クレジットは市場で取引されていない資産ですが、その透明性や客観性は、十分に理解されていないと考えています。BDC(事業開発会社)は、米国証券取引委員会(SEC)に対して、報告書類の提出を行っており、保有するすべての融資債権の条件や評価額は、四半期ごとに開示されています。さらに、すべての資産は、第三者評価機関によって、月次または四半期ごとに評価されています。
つまり、上場のクレジットほど開示頻度は高くない可能性はあるものの、必要な情報は確認できる、ということですね。
その通りです。
ただ、プライベート・クレジットは、他の金融商品ほど流動性が高くありません。設計上の特徴だとは理解していますが、特に市場が不安定な局面で、必要な資金を引き出せない点にはやはり不安が残ります。
それこそが、プライベート・クレジットが提供する価値に繋がります。投資家は一定程度の流動性を犠牲にする代わりに、より高いリターンを得られる可能性があるからです。この流動性とリターンのトレードオフについて、私たちはこれまで一貫して、透明性を重視して説明してきました。通常、市場には流動性が存在しますが、そこには必ずトレードオフがあります。我々が提供するプライベート・クレジットでは、資金の引き出しに制約がある代わりに、より高いスプレッドやリターンを獲得することが可能となり、市場の安定性にも繋がります。これこそが、プライベート資産が数十年にわたり提供してきた価値であり、今後も変わらないと考えています。
プライベート・クレジットとは、銀行以外の主体が提供する融資のことですが、仕組みは銀行融資と同じであると理解しています。借り手は利息の支払いに加え、満期に元本を返済しますが、もしその返済ができなかった場合、プライベート・クレジットでは、投資家はどのような影響を受けるのでしょうか。また、デフォルトそのものは増えているのでしょうか。
今後、デフォルト率のある程度の正常化・上昇は十分に想定されます。ただ、デフォルトが急増するとの極端な見方については、景気後退局面以外ではそのような動きは生じにくいと申し上げられるでしょう。足元の経済は底堅く、企業収益は増加し、消費も堅調です。さらに、大規模な設備投資の動きが進み、財政や金融政策による下支えも続いています。こうした環境では、デフォルト率が正常化・上昇することはあっても、報道で見られるような急激な増加は想定されません。ブラックストーンの戦略において重要な点は、先ず最も弁済順位の高い、第一優先担保付の債権への投資を行っていることから、必要であれば企業に積極的に関与し、再建を行うことが出来る点です。次に、デフォルトは突然起こるものではないことから、私たちは、融資先企業において業績悪化の兆しを捉えた段階で、第三者評価機関と連携し、適切に評価への反映を行っている点です。万が一融資先がデフォルトに至った場合、投資回収に向けて、状況を改善できる可能性が残されています。
AIの台頭により、SaaS企業が時代遅れになるのではないか、という懸念があります。ブラックストーンは、ソフトウェア分野にも投資しており、その一部はクレジット分野のポートフォリオにも含まれています。そこで、プライベート・クレジットの投資家にとって、この分野に投資していることは、どの程度のリスクとなるのでしょうか。
まず、ソフトウェアセクターを一括りにはできません。私たちは、同セクター内で14の異なるサブセクターに投資しており、その中には非常に守りに強い分野があります。例えば、業務に深く組み込まれた、必要不可欠で、規制産業向けの市場向けのソフトウェアなどです。こうした分野が、私たちの投資の大半を占めています。一方で、AIによるディスラプション(破壊的な変化)の影響を受けやすいのは、コンテンツ制作や、付加価値の低いITサービスなどです。次に重要なのは、ソフトウェア企業の資本構成のうち、どの部分に投資しているかです。ブラックストーンの融資は優先担保付が中心で、融資先企業のLTV(資産総額に対する負債残高の割合)は37%に留まっています。これは、企業価値の6割以上が失われない限り、融資債権に影響が及ばないことを意味しています。実際、ブラックストーンのソフトウェアセクターにおける融資先企業は非常に堅調で、2025年は二桁成長を達成しています。また、融資先企業の平均企業価値は約45億米ドルです。そのうち約30億米ドルは私たちの融資債権よりも、弁済順位が下位にある株式で、十分なクッションが確保されていると言えます。もちろん、AIは破壊的な変化をもたらすため、その影響を完全に避けることはできません。それでも、融資先企業の足元の状況には前向きな見方を持っており、実際、2025年でみると、我々が融資するソフトウェア関連企業は、ポートフォリオ全体を上回る二桁成長を遂げています。
最終的に問われるのは、パフォーマンスです。その点で、ブラックストーンのプライベート・クレジット分野における融資先企業の健全性はいかがでしょうか。
私たちの融資先企業全体の業績は、引き続き堅調で、EBITDAとキャッシュフローは、2025年にいずれも二桁成長を遂げました。また、利払い能力を示すインタレスト・カバレッジも25%改善しています。このように、健全なマクロ環境の中、融資先企業の業績は総じて良好です。もちろん、個別の信用リスクが顕在化する可能性はあります。それでも、ポートフォリオは健全性を維持しており、プライベート・クレジットとしての強みを発揮できる環境が整っていると見ています。現に、流動性のあるクレジット市場を比べると、リスク対比で利回りが高く、また安定性、高いインカム、そして低いボラティリティなど、プライベート・クレジットの特性は、足元の環境でもしっかりと維持されています。
プライベート・クレジットの背景や具体的な指標について、大変参考になりました。本日は貴重なお話をありがとうございました。
こちらこそ、ありがとうございました。
5:08あたりの注記融資実行時のローン・トゥ・バリュー(LTV)
5:20あたりの注記LTM EBITDA成長率(前年同期比)を示しており、原則として2024年12月31日以降に融資が実行されたデット投資は除外しています。公正価値は、取締役会が第三者評価会社と共同で決定する、BCREDのソフトウェア・ポートフォリオ(GICS産業分類レベルに基づく)に含まれるすべてのデット投資を対象としており、資産担保型投資(融資)および相場価格のある投資は含まれません。
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