プライベート・クレジット入門
introduction to Private Credit
需要の拡大
成長と変革を重視する非上場企業は、資金調達の際にプライベート・クレジットという選択肢を活用することが増えています。非銀行主体が行う直接融資を通じて、自社の資本ニーズをより機動的に満たすことを目指しています。
ディフェンシブなインカム
プライベート・ローンは一般的に、劣後債券や株式よりも弁済順位が高く、優先的に弁済を受けられる優先担保付債務となっています。また、通常は変動金利の融資となります。こうした特徴により、投資家は元本の保全と高いインカムを期待できます[ 1 ]。
コア・アロケーション
伝統的な株式および債券でのポートフォリオにプライベート・クレジットを組み込むことで、ポートフォリオを分散し、リスク・リターンの向上が期待できます[ 2 ]。
プライベート・クレジットの基本情報
公開市場におけるシンジケート・ローン
あらゆる企業は、事業拡大や運転資金の確保、競合他社の買収、新たな市場機会の追求等のために資金を必要とします。従来、企業は商業銀行から資金を借入れ、銀行は通常これらのローンや融資債権を、それらを保有または市場で取引する様々な貸し手らに売却(「シンジケート」)してきました。
プライベート・クレジット
プライベート・クレジットを利用することで、企業はより直接的かつ効率的に資金調達することができます。プライベート・クレジット運用者は投資家から直接資金を調達し、往々にしてプライベート・エクイティ投資会社の関与のもと借り手企業に融資します。このような直接的な融資は、銀行を中間に介在させないことで、借り手にとっては、より高い機動性、機密性、融資実行に至るまでの確実性および構造的な柔軟性を追求することができます。また投資家にとっては、融資条件における優位性、元本保全および最終的には魅力的なリターンに繋がります。
プライベート・クレジットをポートフォリオの中核に据える
プライベート・クレジットはこれまで、伝統的な投資ポートフォリオのリターンを高め、ボラティリティを低減し、インカム収入の向上に貢献してきました。金利変動やインフレ、公開市場の不確実性が続く環境において、ディフェンシブな投資態度でのリターンを期待する投資家にとって、こうした特徴は魅力的となりえます。
出所:ブルームバーグ、モーニングスター、 クリフウォーター、2023年12月31日時点。業界の慣習に則り、60/40ポートフォリオはS&P500指数に60%、ブルームバーグ・グローバル総合債券指数に40%を配分しています。プライベート・クレジットの指標として、クリフウォーター・ダイレクト・レンディング指数を使用しています。過去の実績は将来のリターンを予測するものではありません。
本資料の記載事項は知識と理解の促進のみを目的としています。公開され利用可能な指数やベンチマークを基に、ある期間中の特定の資産クラスの過去の実績を示すものであり、ブラックストーンの顧客、ファンド、ポートフォリオへの実績やリターン、ブラックストーンのファンドやその他の顧客の投資のリターン、またはブラックストーンのファンドの投資家へのリターンを反映しているものではありません。
ブラックストーンのファンドや、その他投資や資産配分がその投資目標を達成する、あるいは著しい損失を回避する、または、オルタナティブ投資がその他の資産クラスへの投資よりも高いりターンを生み出すという保証はありません。ここで掲示されている情報は、財務または投資に関する助言として解釈されるべきではなく、投資に関する決定を行う際に依拠すべきでもありません。投資家は自身の財務状況に鑑み、プライベート市場への配分が適切かどうか、財務アドバイザーに相談すべきです。
ここで提示された資産クラスへの投資を行うファンドや商品によって実現される実際のリターンは、大幅に低い場合があります。ここで反映されている指数やベンチマークは、該当する資産クラスへのすべての投資を代表するものではありません。また、ここで示されている2015年10月から2023年12月までの期間以外の期間におけるこれらの指数やベンチマークのパフォーマンスは大きく異なる場合があります。したがって、示されているトレンドが継続すると想定するべきではありません。クリフウォーター・デイレクト・レンディング指数の設定日は2015年10月です。年率換算リターンおよびボラティリティは、2015年10月から2023年12月までの四半期リターンを基に計算されています。ここで提示された年率換算リターンおよびボラティリティにおいて投資家が通常負担する手数料や経費は考慮されておらず、これらはリターンを大幅に減少させる場合があります。プライベート市場への配分を持つポートフォリオの利回りは、S&P 500指数の年率換算配当利回り、ブルームバーグ米国総合債券指数の年率換算利回り、クリフウォーター・ダイレクト・レンディング指数の年率換算四半期インカムを用いて計算しています。
今日のプライベート・クレジットを取り巻く環境
プライベート・クレジットは、世界金融危機後の銀行統廃合や規制強化を背景に、ここ数年で急速に拡大しています。米国の投資適格未満のクレジット市場においてプライベート・クレジットが占める割合は、2000年代半ばの5%から現在25%を超える規模に伸びており、大規模案件の資金調達において重要な役割を果たしています[ 3 ]。
このプライベート・クレジットの拡大は、プライベート・エクイティの投資活動や、より柔軟な資金調達ソリューションを求める企業によって牽引されています。
長期に亘り優れた実績を有するプライベート・クレジット
プライベート・クレジットは、ハイ・イールド債やバンクローンなどの伝統的なクレジット商品のパフォーマンスを長期に亘りアウトパフォームしており、その一因として、資金調達の機動性や機密性、柔軟性の対価として、借り手が支払うプレミアムがあります。
主な債券指数の年間リターン・ランキング(2017年~2023年におけるパフォーマンス順)
出所:モーニングスター、クリフウォーター。2023年12月31日時点。各暦年の年間リターンをパフォーマンスの高い順に示しています。記載された資産クラスは、以下の指数に基づきます。プライベート・クレジットはクリフウォーター・ダイレクト・レンディング指数、米国ハイ・イールド債はブルームバーグ米国ハイ・イールド債指数、米国投資適格債はブルームバーグ米国総合債券指数、米国バンクローンはモーニングスターLSTA米国レバレッジド・ローン指数、米国中期国債はブルームバーグ米国中期国債指数、1-3カ月短期財務省証券はブルームバーグ米国財務省証券1-3カ月指数。過去の実績は将来のリターンを予測するものではありません。
いかなるオルタナティブ資産クラスもその目的を達成する、あるいは著しい損失を回避する保証はありません。過去の出来事およびトレンドは将来の出来事あるいは結果を暗示、予測、保証しません。また、必ずしもその通りになると示すものではありません。指数のボラティリティおよびリスク特性は、ファンドの特性とは大きく異なると見込まれます。指数はファンドとは異なる投資ガイドライン/基準を採用しており、レバレッジを使用していません。ファンドの保有銘柄および当該保有銘柄の流動性は、指数を構成する銘柄とは大きく異なる場合があります。指数には報酬や費用がかからず、指数に投資することはできない場合があります。指数のパフォーマンスは、ファンドのパフォーマンスと比較する適切なベンチマークとして選別されたものではなく、よく知られ広く認知されている指数のパフォーマンスと比較できるように開示されています。指数に関する投資ガイドラインの概要は、要請に応じて提供可能です。指数は必ずしも特定の資産クラスにおいてパフォーマンスが最も高い指数ではなく、資料の受取人はファンドまたは投資のパフォーマンスを指数のパフォーマンスと比較する際に、この点を考慮する必要があります。
トータル・リターンは、2017年1月1日から2023年12月31日までの期間で計算されています。
ケース・スタディ
プライベート市場からの資金調達の需要拡大の理由
迅速性、簡潔性、柔軟性:プライベート・クレジットの貸し手が迅速かつ大規模に資本を提供できる能力は、借り手にとって魅力です。例えば、データセンター内ハードウェアの第三者保守サービスを提供する大手企業である「パークプレイステクノロジーズ」の場合、ブラックストーン・クレジット&インシュランスは、当分野の専門知識とスポンサーであるプライベート・エクイティ投資会社との強力な関係を活かし、2024年3月に20億ドルの融資を主導しました。パークプレイスは、ブラックストーンの企業価値向上支援プログラム(バリュークリエーション・プログラム)に参加しており、同社は数多くの紹介を通じて相乗効果を生み出す恩恵を受けています。