AI時代におけるプライベート市場:
ブラックストーンによる次世代への投資とは
BXN1のグローバル責任者を務めるジャス・カイラが、産業に構造的な変化をもたらす主要なトレンドと、急速に変化する市場環境の中でブラックストーンが着目している投資機会について語ります。人工知能(AI)が投資戦略に及ぼす影響に加え、ブラックストーンが長期的な成長機会を見出している分野についてご紹介します。
AI時代におけるプライベート市場:ブラックストーンによる次世代への投資とは
クリスティーン: 皆さま、こんにちは。今回お話いただくジャスは、ブラックストーンで22年にわたるキャリアを築いてきました。非常に先見性に富んだ投資家であることに加え、ブラックストーン社内でも、協調を重んじながら、その革新的かつ謙虚な姿勢で広く知られています。本日はこうしてお話を伺えることを楽しみにしています。まずは、足元の市場環境を整理しましょう。底堅い経済環境、回復しつつある投資回収の動き、そして人工知能(AI)によって生み出される大きな投資の波が生まれています。しかし最終的には、こうした見通しを実際の投資判断に落とし込むことが重要です。そして、それを長年実践してきたのがジャスです。AIが各種報道で注目を集める前から、AIインフラをはじめとする重要な基盤インフラへの投資を続けてきました。当時は、どのような点に着目し、早い段階から、将来的に重要なテーマになると確信されたのでしょうか。
ジャス: ブラックストーンは、あらゆる産業革命がどのように進展してきたのかを研究してきました。例えば、電気、自動車、インターネットといった分野です。突き詰めると、これらの変革はいずれも実物のインフラ資産から始まります。そのため、ブラックストーンは約10年前から、AIバリューチェーンの基盤となるデータセンターや電力分野に注目し、さらに足元では半導体や計算処理といった領域における投資機会に注目してきました。そして、こうした流れを踏まえて投資を拡大し、その発展を間近で見てきました。最も興味深いのは、その次の段階です。あらゆる産業革命の第二段階では、構築されたインフラ資産の上にどのような価値が生まれるかが重要になります。まさにその領域こそ、ブラックストーンの強みが発揮される分野です。ヘルスケア、金融サービス、運輸など、ブラックストーンの投資先企業や投資家の皆さまが日々接する様々な分野で、テクノロジーの活用による新たな価値が創出されています。ブラックストーンは275社の投資先企業を有しており、その規模および投資領域の広さから得られる知見は、今後のあらゆる可能性を見極めていくうえで、大きな強みとなっています。
クリスティーン: ブラックストーンはAnthropic(アンソロピック)と共同で新たな企業を立ち上げ、経済全体でAIの実装を促進していくことを目指しています。一方で、ブラックストーンは多くの企業を保有しており、全ての企業にAIを実装していくには非常に複雑な課題があります。この新たな取り組みは、AIの実装という次の段階について、どのような示唆があるのでしょうか。
ジャス: まさに「AIの実装」が重要なキーワードです。ブラックストーンでは、テクノロジーが経済全体に広がっていく過程をよく S字カーブに例えます。実装の初期段階では、技術そのものよりも人や組織に起因する課題に直面します。例えば、主要な業務フローの中にどのようにAIを組み入れるのか、セキュリティ(安全性)をどのように確保するのか、そして組織にどのように浸透させるのか、といった課題です。そしてブラックストーンの投資先企業を見ていて実感するのは、課題解決には優秀な人材が不可欠だということです。特に、テクノロジーの実装に向けて、高度なエンジニアリング人材が求められています。Anthropicは法人向けAI分野において、トップクラスの企業です。ブラックストーンは、Anthropicおよび同社のエンジニアと連携しながら、AIを実体経済へどのように実装していくかを模索することで大きな成長領域を捉えていきます。一方で、それを実行するために適切なチームや人材を確保することは容易ではありません。だからこそ、新会社を共同で立ち上げることで、独自性および優位性を確保できるとブラックストーンは考えています。さらに、ブラックストーンは多数の投資先企業から実際の需要動向を把握できるという強みもあります。最後に、Anthropicと協働で優秀な人材を獲得することが、新会社を成功に導くうえで重要であると考えています。そして投資家の皆さまにとっても、AIが実体経済にもたらす変化を目の当たりにできる、非常に珍しい機会になると考えています。
クリスティーン: ブラックストーン内での他の役割も引き続き担いつつ、直近、BXN1のグローバル責任者にも就任されました。動画をご覧の皆さまにご説明すると、BXN1はAIエコシステム全体にわたる、新しい統合プラットフォームです。グロース投資、オポチュニスティック投資、そして長期保有を目的としたプライベート・エクイティ戦略に横断して、一つの枠組みで投資を行います。ここでお伺いしたいのは、この新たな統合プラットフォームは、案件発掘、知見の獲得、そして市場の流れを捉える上で、どのような変化をもたらすのでしょうか。
ジャス: キーワードは「統合」です。これまでもブラックストーンは複数の事業領域にまたがりAI関連の投資機会を捉えてきました。足元ではAIが実証実験の段階から、本格的に実体経済へ実装される段階へと移行しており、データセンターなどの実物のインフラ資産と同様に、AI分野を牽引する存在でいることは、戦略上、ブラックストーンにとって重要です。そのためブラックストーンは、多くのAI関連企業や創業者が集まるサンフランシスコを拠点として、グロース投資、オポチュニスティック投資、そして長期保有を目的とした各投資戦略を横断する、一つのチームによる統合プラットフォームを構築し、あらゆるトレンドの兆候を捉える体制を整えました。重要なのは、点在する情報を結びつけて考えることです。そうすることで、より優れた投資判断が可能となり、より多くの投資機会を発掘することができます。BXN1の創設により、投資先企業やデータセンター関連投資から得られた情報を結びつけることで、市場に存在する「N of 1(唯一無二の存在)」の企業や創業者を発掘し、またそこから得られる情報をもとに知見を獲得し、独自の投資判断に繋げることを目指しています。競合他社よりも先に、そして他社とは異なる見方や結論を導き出したときに、ブラックストーンは優位性を発揮できます。そのためには、あらゆる対話や情報の精査、そして企業との関係を通じて得られる知見が不可欠です。最後に、市場の流れを捉えることはブラックストーンが強みとしている部分です。私は22年前に入社しましたが、ブラックストーンには40年以上の歴史があります。その中で培われてきた強みが、幅広い分野で変化を見抜く力です。これにより、ブラックストーンは優れた投資家であることに加え、適切なリスク管理に繋げています。
クリスティーン: また、ブラックストーンはGoogleと大型の合弁会社を新たに設立しました。本件についても、もう少し深掘りしていただけますか。
ジャス: 本件は、私が特に期待している案件の一つです。興味深いことに、足元の市場における最大の注目点は演算処理能力の不足であり、その点でも非常によく合致しています。ご存知の通り、NVIDIA(エヌビディア)は史上最も成功した半導体企業の一つです。同社は約80%の市場シェアと75%超の粗利益率を誇ります。しかし過去を振り返ると、圧倒的な地位を築いている企業には、いずれ競合が必要となります。産業が一社のみに依存することはほとんどありません。そして、NVIDIAに対抗し得る企業が Googleです。Googleは過去15年間にわたりTPUと呼ばれる自社開発チップを活用してきました。
クリスティーン: TPUとは何の略称ですか。
ジャス: TPUはTensor Processing Unitを指します。Googleが長年にわたり開発を重ねてきた、実運用が可能なレベルの半導体です。すでに第8世代が開発されていますが、これまでGoogleは収益化および商業化を推進したことがありませんでした。しかし、2025年にGoogleはTPUを市場に提供するという戦略的な意思決定を行いました。ただ、収益化を実現するにはデータセンター、電力の確保、運営のノウハウ、そして大規模な事業展開を支える体制が不可欠であり、適切なパートナーを必要としていました。ブラックストーンは、1年間Googleと協議を重ね、TPUを基盤としたクラウドプラットフォームを共同で構築するパートナーとして選ばれました。この合弁会社を立ち上げて間もないですが、この取り組みには非常に期待しています。また市場が必要としているタイミングにも合致しています。そして足元では、AIの開発は大規模言語モデルが学習段階から推論段階へと移行しつつあり、まさに転換期にあります。推論は今後、AIモデルにおける収益化のための大きな鍵になると考えています。Anthropic、OpenAI、メタでは、AI利用に伴うデータの処理需要が急増しています。そして、その計算処理を支えるのがブラックストーンおよびGoogleが提供する半導体であり、今後さらなる事業の拡大が見込まれます。本件は、BXN1やブラックストーンのAI投資において象徴的な取り組みです。市場がまさに必要としているタイミングで新たな領域を代表する企業を生み出し、また世界有数のテクノロジー企業と協力し、コスト面での優位性も確立できる、非常に魅力的な投資機会です。そしてまさにブラックストーンが強みを発揮する領域でもあります。
クリスティーン: 素晴らしいお話でした。他にもお伺いしたいことはたくさんありますので、ぜひまたお越しいただきたいと思います。ブラックストーンがAIへの取り組みをどのように強化しているのか、テクノロジー企業に投資するだけではなく、その周辺領域で事業を構築し、バリューチェーン全体に投資していることがご理解いただけたかと思います。長年にわたり培われた投資経験や知見をどのようにAI分野への投資判断に応用されているかについても大変興味深かったです。
本日はありがとうございました。
注: 本動画は、2026年6月3日に撮影されたものです。
この動画やここに含まれるいかなる情報も、証券、ブラックストーンのファンドまたはその他の投資商品もしくは戦略の販売の申込みまたは購入の申込みを勧誘するものではありません。過去の実績は将来のリターンを予測するものではなく、ブラックストーンのファンドがその投資目的を達成する、あるいは著しい損失を回避するという保証はありません。この動画は将来の見通しに関する発言を含む可能性があり、それらは様々なリスクと不確実性を伴います。実際の出来事や結果、または投資の実際のパフォーマンスは、ここに反映または考慮されたものとは大きく異なる可能性があります。ここに含まれる発言は、録画日時点におけるブラックストーンまたは第三者の予想、推定、意見あるいは信念に基づくものであり、リサーチまたは投資アドバイスとして解釈されるべきではありません。この動画で表明された見解や意見が実現する保証はなく、それらは変更される場合があります。ここで説明されたいかなるトレンドも継続する、あるいは反転しないという保証はありません。
リスクや財務情報を含むブラックストーンのビジネスに関する情報については、米国証券取引委員会に提出した最新の年次報告書(Form 10-K)や関連資料をご参照ください。追加情報はhttp://ir.blackstone.comをご覧ください。この動画はブラックストーンの所有物であり、ブラックストーンの明示的な同意なしにはダウンロード、録音、再利用は一切できません。
BXN1のグローバル責任者を務めるジャス・カイラが、産業に構造的な変化をもたらす主要なトレンドと、急速に変化する市場環境の中でブラックストーンが着目している投資機会について語ります。人工知能(AI)が投資戦略に及ぼす影響に加え、ブラックストーンが長期的な成長機会を見出している分野についてご紹介します。