2026年6月30日

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2026年も折り返しを迎えましたが、ブラックストーンが年初に示した見通しについて、大きな方向性に変更はありません。

その中でも最大のテーマである人工知能(AI)は、需要が急速に拡大する一方で、供給面では制約があり、かつ多額の資金を必要とすることから、プライベート市場を通じた大規模な資金調達への需要が一段と高まっています。

2026年の年初来、市場は再び地政学的リスクおよびマクロ経済要因に左右される展開となりました。過去6年間のうち、年初からの6カ月以内で、市場が大きなディスラプション(破壊的な変化)に直面したのは今年で5回目となります。2020年の新型コロナウイルスの感染拡大に始まり、ウクライナ戦争、2023年における米国の地銀を巡る信用不安、関税を巡る政府間の対立、そして足元の中東情勢が挙げられます。こうした逆風にも関わらず経済のファンダメンタルズは堅調に推移しており、市場の変動性は、投資を見送るのではなく、むしろ前向きに投資機会を捉える好機を提供していると考えられます。

足元の経済指標は、特に米国において、経済環境が底堅さを維持していることを示しています。経済成長が安定していることに加え、企業の業績は健全さを保ち、労働市場における需給バランスも改善しています。インフレについては、短期的には上振れ要因が残るものの、賃金上昇率および住居費の伸びの鈍化、そして力強い生産性の向上により、今後インフレ圧力が緩和することが見込まれます。

ブラックストーンの投資先企業における足元の業績および見通しは引き続き前向きですが、課題も存在しています。長引く地政学リスク、財政面での圧力、特に欧州における経済成長の地域間の格差、AIの影響に伴うディスラプション、米国中間選挙、その他にも複雑な要因が挙げられます。このような変化の大きさとスピードは、今後も市場の注目を集めるメディア報道や不透明感、市場の混乱をもたらす可能性がある一方で、そうした混乱の中でも本質を見極め、資金を投じることで、魅力的な投資の好機となると期待されます。

足元の環境を乗り切るには、日々の報道に左右されず、基礎となる経済指標を継続的に注視することが重要です。ブラックストーンでは、こうした規律あるアプローチを下支えするものとして、拡大し続ける膨大なデータに基づく情報優位性が挙げられます。ブラックストーンのポートフォリオ全体で、280社超の投資先企業、5,100社超の融資先企業、約74万人の投資先企業の従業員、約1万3,000件の不動産 [ 1 ]に関するデータを包括的に分析し、市場横断的なトレンドや動向を特定しています[ 2 ]。投資先企業の経営指標、取引データ、リアルタイムの市場動向を示すデータなど、その膨大な独自データにより、経済動向に関してより差別化された洞察を得ており、それらがブラックストーンの投資判断や投資先企業の管理、リスク評価の基盤となっています。

その代表例の一つが、ブラックストーンが2026年年初の投資環境見通しでも最重要テーマとして挙げていたAIです。ブラックストーンはそのデータにおける優位性を活用し、早期からデジタル・インフラの成長性を見出し、今から5年前、データセンター事業者であるQTSを取得しました。これはChatGPT初版の公表よりも約18カ月前です。以降、顧客であるハイパースケーラー(大規模クラウド事業者)からのQTSのデータセンターに対する需要は、飛躍的に拡大しています。その結果、QTSの契約容量はメガワットベースで、5年前と比較して15倍に拡大しました[ 3 ]

足元、ブラックストーンのAI関連への投資は、運用資産全体の中でも重要な位置を占めています。データセンターに留まらず、電力、冷却設備、データセンター関連設備、大規模言語モデル(自然言語処理に特化した生成AIの一種)、ネオクラウド(AIに特化して設計された次世代型クラウドインフラ)など、データセンターの周辺領域も確信度の高い投資分野として注目しています。これらの分野では需要が拡大し続けており、また契約に基づいた安定的なキャッシュフロー創出に対する投資家需要の高まりを背景に、ブラックストーンの同分野への投資配分もさらに拡大していくことが見込まれます。AI革命を支える基盤インフラに対して巨額の設備投資需要が生じる中、あらゆる資産クラスを横断して、実物資産への投資における専門性が重要性を増しています(図表1)。

図表1:米国におけるデータセンター建設費用 [ 4 ]
月次(季節性調整済みの年率)

経済全体の観点から見て特に重要な点は、AIの普及が進むことで、足元で見られる生産性向上の流れが継続し、さらに加速していくことが期待されることです。こうした背景を踏まえて、改めて市場を左右する5つの主要な要素である、AI、経済成長、労働市場、インフレ、資本市場について改めて見ていきます。

主なポイント

01 | AIは、引き続き投資環境を大きく左右する重要な要素です。データセンターや発電所では大規模な設備投資が行われていると同時に、実体経済へのAIの導入が広がり、生産性向上の基盤が築かれつつあります。

02 | 経済成長は堅調に推移しているものの、ばらつきも見られます。米国では、企業の財務状況は健全性を保ちつつ、収益は引き続き拡大しており、また安定した個人消費が経済活動を支えていますが、地域や所得層によって、格差は残っています。

03 | 労働市場は正常化し、足元では改善の兆しが見え始めています。採用難は緩和し、賃金の上昇圧力も和らぎ、労働生産性の改善がデータ上でも確認されつつあります。

04 | インフレには短期的な上振れ圧力があるものの、今後は緩和していくことが見込まれます。エネルギー価格の上昇や設備投資に伴う導入コストの増加により、短期的な見通しは不透明ですが、長期的には引き続き前向きな見方を維持しています。また、住居費が米国の消費者物価指数(CPI)で最大の構成要素であることを踏まえると、賃料上昇率の鈍化は、インフレの緩和に寄与することが見込まれます。さらに長期的には、特にAIの普及に伴う生産性の向上により、インフレ環境が改善すると考えられます。

05 | 資金需要は拡大している一方、供給が制約されている中、プライベート市場は、そうした資金不足を補うためにも重要な役割を担っています。計算処理や電力、実物のインフラ資産は構造的に不足しており、こうした領域には大規模な資本と投資の実行力が重要となることから、非常に大きな投資機会が生まれていると言えます。

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ブラックストーン独自データ(2026年4月30日時点)。
米国国勢調査局(2026年4月時点)。