2026年4月29日
ブラックストーンの社長であるジョン・グレイが、経済見通し、そして引き続き2026年にIPOが活況となると考える背景について説明します。あわせて、地政学リスクへの対応、プライベート・クレジット、ソフトウェアセクター、AIインフラストラクチャーの状況についても語ります。
ジョン・グレイ、ブラックストーン社長兼最高執行責任者(COO):私の経済見通しは、メディアで報道されているほど悲観的なものではなく、むしろ前向きです。重要なのは、長期的な時間軸で状況を捉えることだと考えています。振り返れば、2020年の新型コロナウイルスの感染拡大、ロシアによるウクライナ侵攻、2025年のいわゆる「米国解放の日」、そして足元の中東情勢など、世界経済は幾度となく大きな困難に直面し、乗り越えてきました。特に、米国経済は市場の想定を上回る回復力や力強さを示してきました。2026年もまた、米国経済の底堅さがみられる年になると考えています。
このような環境下でも引き続き、2026年はIPO(新規株式公開)が活況になると見ています。いくつかの大手テクノロジー企業が上場を予定しており、IPO市場の活性化を後押しするはずです。ブラックストーンの投資先企業においても、世界中で現在9社が上場申請を行っており、投資家需要は旺盛だと見込んでいます。
プライベート・クレジットについてメディアで頻繁に取り上げられていますが、いくつかの要素が混同されたまま議論されているようです。たしかに基準金利の低下に伴う利回りの低下、クレジット・スプレッドの縮小、加えて融資先の満期到来に伴うデフォルトの増加などにより、結果的にリターンに下押し圧力がかかっています。しかし、こうした動向からレバレッジ水準の低いプライベート・クレジット資産全体に構造的なリスクが生じていると結論づけるのは、あまり合理的とは言えません。
「ソフトウェア」と一口にいっても、企業によってパフォーマンスは大きく異なります。例えば小売業界では、Costco(コストコ) やWalmart(ウォルマート)が、Toys R Us(トイザらス)やKmart(Kマート)といった企業と比較して、長期的に顕著なパフォーマンスの差を生み出してきたことが知られています。同様の構図はソフトウェア業界にも当てはまると考えられます。特に企業の基幹データを管理するソフトウェアは一度導入されると、他のシステムに置き換えることは容易ではありません。そのため、ソフトウェア企業の間でも、パフォーマンスの格差が生じる可能性があります。
プライベート・クレジットの文脈では、ソフトウェア企業における負債と自己資本の構造的な違いを理解することが重要です。融資先企業の多くは、企業価値の60%が自己資本で構成されており、損失が発生した場合にはまず株主がそのリスクを負います。プライベート・クレジットの投資対象である優先担保付債権は優先的に弁済されるため、著しく企業価値が毀損されない限り、資本構成の中で相対的に安全な部分と見なされています。
ブラックストーンは、人工知能(AI)インフラストラクチャー分野において、世界最大級の投資家になることを目標とする戦略を打ち出しています。2026年は、約1,000億米ドルでデータセンター向けに合計6ギガワットの賃貸借契約を締結する見通しです。さらに、契約の締結先であるハイパースケーラー(大規模クラウド事業者)各社は、約2,000億米ドルを半導体に投資すると見込まれており、両者を合わせると投資規模は約3,000億米ドルに達します。このような大規模な投資が、投資家にとって大きな意義をもたらすと考えています。